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2014/5/28 「気が遠くなる未来の宇宙のはなし」 佐藤勝彦 宝島社

気が遠くなる未来の宇宙のはなし

気が遠くなる未来の宇宙のはなし

久々に読書をしたので、その記事を書きたいと思います。
この「気が遠くなる未来の宇宙のはなし」は、佐藤勝彦先生の「眠れなくなる宇宙のはなし」と「ますます眠れなくなる宇宙のはなし」の続編。今回は、この宇宙は今後どうなってしまうのかと言うことを、最新の研究結果をもとにして、いくつかの説を説明したものです。

近い未来で言えば、地球が氷河期になったり、大陸同士がひとつの大きな大陸になり、気候変動が起きて、住みにくくなったり、太陽に飲み込まれたり、はたまた火星の方が住み心地が良くなっているのではないかというはなしもあり、もっと先の未来で言えば、銀河系同士が衝突したり、宇宙が収縮を始めて特異点になってしまうか、もしくはこの先も永遠に膨張を続けるかといった様々な説があることを教えてくれました。

この世の中には人間が感知できない次元まであり、最新の研究では10、11次元あるのではと言う説があるそうです。本当に気が遠くなるというか、想像もできない。でも、その分からないことに対する探究心は人間の生きる意味であり、知的生命体でしかなしえないことなので、人間には宇宙の生涯とともに存在価値があるのではないか、という主張もしています。

少し変わりますが、人間の脳みそは1万年前とあまり変わらないそうです。1万年前というと狩りをして群れを作って、他のコミュニティと争ったりしていたような時期です。その時と同じ脳みそを持った現在の人間は、コンピュータを駆使したり、難しい論理を展開したり、飛行機に乗って世界各地に行けたりしています。これは「心」が進化したと考えられているそうです。
唯一、未だに進化できていないのは「他のコミュニティと争う」と言う部分。争いが絶えず、このままでは自ら自滅してしまう危機にも直面してしまうかもしれません。著者の願いでもある、人間が将来「地球生命体」から「宇宙生命体」へと進化していくということは、そうした「心」の進化を自ら自己設計していって、結果として地球上のあらゆる困難を「地球人」として解決していく力を身につけ、今後の宇宙規模で発生する問題にも取り組める生命体へと進化していくことにつながるのではないでしょうか。


なぜ、宇宙を研究しているのか。こんなに分かっていないことがある世の中で、何を争っている暇があろうか。ということを伝える本であったと思います。

面白かった!理系が苦手と言う人も抵抗無く読めると思うのでおすすめ!!