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2011/11/21 「羅生門・鼻」 芥川龍之介 新潮文庫

羅生門・鼻 (新潮文庫)

羅生門・鼻 (新潮文庫)

日本の有名な文学とやらに触れてみようと、昔買って読まなかったものを引っ張り出して読んでみました。。

感想、、、、、、読みやすい!!

言葉もそんなに難しくなく、多少直されているのかも知れないが当時のユーモアみたいなものが伝わってきて良かった。

ここで説明するには及ばないかもしれないが、彼の作品は平安期などに書かれた古典から引用された話を近代風にアレンジを加えて発表している物が多い。

明治の終わりから、大正・昭和の初めらへんの“昔の人(芥川龍之介)”が、平安期というもっと昔のものを書いていて、でも同じ日本なのだなと言うことが意識され不思議な気持ちになる。

今の作家の人が歴史物を書いてそれを読む時、例えば戦国時代や幕末を舞台に書いていたとしても、なんとなくハードボイルドを読んでいるような、昔の日本を真に想起させられることはあまりないが(読む側としてもそれを一番に期待してるわけじゃない)、昔の人が書いた昔の日本は、真の太古の日本を連想させる。
これは芥川龍之介の才能なのかもしれないが、自分は素直にその世界に触れ堪能した。

読んだのは、「羅生門」「鼻」「芋粥」「運」「袈裟と盛遠」「邪宗門」「好色」「俊寛」が収録されている短編集。

本当は書かれた年代とかも調べて、その頃の情勢と芥川龍之介心理的状態とかも調べないといけないのかもしれないが、そのような時間が無かった。。。

まぁ、ただの感想と言うことで、、、


羅生門」については、場面の画が浮かんでくるような、不気味な雰囲気が漂う作品だった。ただ、登場人物の性格だとか、他の作品にあふれているユーモアなどはそんなに感じなかった。
人間ってこういうトコもあるんだなという程度。


「鼻」「芋粥」は主人公がいて、その人のことを語っているような作品。それなりに楽しめたし、「芋粥」は自然が多く残る日本の昔の風景が頭に浮かんでくるような、いい感じの作品だった。


「運」は特に、翁の話を聞いている場面の春の様子がとても伝わってきて、とても綺麗に浮かんで来過ぎて、物語の中心になる翁の話があまり印象に残っていない(笑)
でも青侍の外を眺めながら翁の話に耳を傾けている様子や、外の日の傾きつつある状景がとても綺麗だった。特に場面は春なので、桜の花が出てくる。桜が出てくると(特に平安時代とかなると)ものすごく、個人的に心に響いてしまう。(←俺だけかな?)


袈裟と盛遠」は最後にどんでん返しのようなものがあり、少し切ない。登場人物2人の視点で書かれているというところが、芥川龍之介の生きた時代を思うとものすごく斬新で新しいのだろうなと思う。ただ、登場人物とは生きてる時代も違うし、書いてる人も時代が違うから、なかなか感情移入しにくい。。


邪宗門」・・・・・・・・・!!!!!
これは問題作だと思う!なにしろ途中で終わってる!未完!!
ちょうどこれからと言う所で、終わっているんだな(笑)Wikipediaとか、解説などによると、体調不良が原因だとか、話が行き詰ってしまったのが原因だとか書かれていた。
行き詰ったて〜〜〜〜
長編で、話にものすごく引き込まれていたので残念。
たけど、その後は自分で考えてと言うような、後は読者の心の中でと言うような想像力を膨らませる。もしかしたら新しいのかもしれない。
でも若殿様と摩利信乃法師との対決は読みたかった。いったいどうなるのだろう?摩利信乃法師はかなり強敵だし。若殿様はかなりの切れ者で取り乱すことも無いだろうし、、、
というようにかなり引き込まれてから投げ出されたので結果的にこの短編集の中で一番印象に残っているのでした(笑)
なんとなく陰陽師みたいだった。


「好色」は一番ユーモアあふれる作品。とてもナルシストな平中が主人公。狙った女は逃さない、と言うようなプレイボーイが、唯一自分になびかなかった侍従のために死にそうになってしまうと言うお話。
その侍従のことを嫌いになろうと、侍従の糞を手に入れようとしたりする。
また、その平中の2人の友達が平中のことを語る談笑みたいな項もあって面白い。


俊寛」は色々と深い。芥川龍之介と同時代に生きた二人の作家。倉田百三菊池寛に対抗して出されたものらしい。彼ら2人も「俊寛」と言う作品を出していて、全員が異なった解釈をして、俊寛を語っているらしい。
他の二人の作品を読んで比べてみるのがいいと思う。この「俊寛」は、俊寛の人生を語っているのではなく、芥川龍之介倉田百三菊池寛というプライド高き三人の作家の人生を語っているのだと思う。



思ったんだが、こういういわゆる文学は非常に感想が書きにくい。誰かにココを読まれでもしたらバカにできるところのオンパレードだと思う(笑)
でも僕は諦めず、屈しないわけでございますよ。

芥川龍之介も面白かったし、夏目漱石とか太宰治とか読みやすくて有名な日本の文学は読んで行きたいでございますね。