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2011/12/14 「書店はタイムマシーン」桜庭一樹読書日記 桜庭一樹 創元ライブラリ

作家桜庭一樹さんの読書日記。かな?
桜庭さんの日常と著者のものすごい本への愛情が、彼女の周囲を取り巻く人々(編集者や親とか)とともにとてもコミカルに書かれている。

桜庭さんの文章がとても面白かった!

食べ物を「もりもり食べる」とか、ひとつひとつの話の最後は何故か唐突に寝てしまうところとか(直前まで猛然と本を読んで色々なことを考えている)、蟹歩きをして去っていったり、コタツで亀になりながら本を読んだり、、、

書かれている文章がとても優しく、エッセイなのになんとなく物語の中にいるような、そんな書かれ方。

そんな中でいくつも心に残るフレーズが突然現れる。

「本屋という場所には思い出が詰まっていて、だから内部だけ時空がゆがんで、あの頃の自分とも、本棚の前でふとすれ違うような機がする。」

「知性や教養というのは本来、このようなエンタテインメントなのだなー、難解なことじゃなくて・・・・・」

「世界中で、いろんな小説が書かれている。読書のわたしたちも、世界のあっちからこっちに、自由に好き勝手に飛んでは、降りる。漫画みたいな世界地図のあちこちから、ちいさい飛行機が飛び立っては、あっちにこっちに飛び去る。途中で消える飛行機もあって、それはなんと過去へ(もしくは未来へ)行ったのだ。・・・・(略)・・・本は読まれる。」

こんなことを考えているのかー。とか、こういう表現をすればものすごく優しく、面白く聞こえるんだな、とかそういったことにも意識が向いた。

なんとなく可愛らしい文体で、登場人物が実在のはずなのに物語の登場人物みたいに思えてきて、かなり感情移入してしまった。


桜庭さんの小説はまだ読んだことがない。絶対近いうちに読もう。
本書の中にも書いてあったが、作者の性格からその人の書く小説は一致しないらしい。だから多分結構ギャップがあるのかもしれない。それも味わってみたいな。

ものすごい量の本を読むのだそうだが、それは桜庭さんの周りでは特に珍しくなく、ただ著者が直木賞を取ってから「この作家はかなり本を読むらしい」と、かなりクローズアップされて、本人はやっぱり違和感を感じて、見たいな所になんとなく自分の殻にこもってるほうが安全で、外の世界は怖いと思わせるような、外の世界は多様な人がいることを許さないのか?見たいな事が感じられ、なんとなく考えさせられた。


とりあえずこの本は面白かった。色んな本が出てくるし、気になるような本に印でもつけて今度読んでみたいと思う。
読書好きの人が読むとかなり共感しながら読めるかも。