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2013/3/23 「建築家と小説家〜近代文学の住まい〜」 若山滋 彰国社

建築家と小説家―近代文学の住まい

建築家と小説家―近代文学の住まい

作者は建築家でありながら、文学の研究も行っており、本作は文学作品に登場する住まいなどから当時の建築物をとりまく人々の社会環境や情勢を読み解くものとなっている。

時代は明治・大正・昭和が中心で、平成も少し入っている。小説家は夏目漱石から村上春樹まで、建築家はJ.コンドルから安藤忠雄まで、日本国内の小説家・建築家の近代史をざっくりと語っている。

個人的に文学史、建築史のどちらにも興味があるのでとても楽しめた。
また、新たな着眼点でもありとても新鮮であった。文学作品から当時の住宅内部の描写を読み取り、さらに深く当時の日本の社会、もっと言えば世界の中での日本という存在にも切り込んでいる。
文学作品も普通に高校まで出ていれば誰もが知っているものばかりであったので、そんなに身構えずに誰にでも進められる本だと思います。

文学作品を読む際の着眼点が変わるかも!建築をやっている人ならではの解釈も出来るので、いいと思います。

小説家自体は、おそらくそんなに建築物に対して意識しているわけではないと思うので、様々な解釈ができ、議論を交わす材料になるのでそういうことが好きな人はぜひ!

てか、最近建築の構造分野の工学的な本しか読んでいなかったから、こういう意匠らしいというか建築の思想的なことはとても興味深くて面白かった!やっぱり元々はこういう分野が好きで建築を選んだので、時には息抜きみたいな感じで建築に触れるのも大事だな。